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最近読んだ本

寄生虫館物語
亀谷 了 氏
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こんなに寄生虫を愛しているかたがいるでしょうか?とても面白い本でした。
「おっ」と思ったところを 部分的に抜粋してみますね


正しい終宿主にたどり着いた寄生虫は悪い事はしない

しかし、ときには本当はイヌに寄生すべき寄生虫が、間違って人間に寄生してしまうなどということがおきる。本来の寄生虫と宿主のルールから外れてしまうわけだ。
まちがった動物に入ってしまい、自分の身を嘆きながら、何も出来ずにむなしく死んでいってしまう寄生虫もいるのだが、まちがって入ったことを自分でも腹立たしく思ってか、寄生した生物に害をなす場合がある。
この、本来のルールから外れて寄生虫が寄生することを迷入とよぶ。寄生虫が怖いと言うのは、この迷入がおこったときがほとんどである。

自然界の仕組みを考えた時、生物は、何らかの生物を犠牲にしなくては生きて行けないようになっている。
肉食動物はもちろん、草食動物でさえ、他の生物を犠牲にするという点では同じである。
一方では味覚器官を神は生物に与え、一方では、これに適合する味を生物の身体に含ませている。ということは、適当な数のバランスをたもちながらおたがいに利用しあって生きて行くようにと、神は仕組まれたと解釈してもよいであろう。
しかし寄生虫は、他の動物とはちがい、原則として他の生物を殺すことなどせずに、おのれの命を保っているのである。
そう考えるとたいへんおだやかな生き方をしていると、僕には解釈出来るのである。


人間のほうが よっぽど寄生虫より野蛮なのかも知れないですねぇ(^^)



そしてもう一冊
十歳のきみへ 九十五歳の私から
日野原重明 氏
日野原氏は 聖路加国際病院のお医者さんです
「ふむふむ〜」と思ったところを 抜き出してみます
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 平和が、ここにあって、あそこにはないとしたら、
それは平和ではないのです。
知るということについては、責任がついてまわります。

きみたちは名前を聞いたこともない遠い国のことでも、たまたまテレビのニュースやインターネットをとおして見聞きすることがありますね。わたしたちのくらしぶりとはまるでちがう様子がそこには映し出されます。うらやましいと思えるくらしもある一方で、爆撃や銃弾にたおれる人たちの悲惨な姿も目にします。
そんな遠い国の貧しいくらしや、戦火で家を焼かれた人達のなみだに暮れる姿を目にしたあとで、わたしたちはたいていもう次の瞬間には自分たちの日常に返っています。目の前に並べられたジュースやお菓子に手を伸ばしていたり、インターネットでゲームの続きを楽しんだり、おこづかいを手にほしかった本を買いに家を飛び出したり、ゆったりと手足を伸ばしておふろにつかったり、あたたかいふとんのなかにもぐりこもうとしているのです。そして、それを誰からも責められることもありません。
でも、わたしたちが戦争をいまだにこの世界からなくせない理由のひとつは、ここにあるような気がしてなりません。他の人の痛みや悲しみや、寒さやひもじさを想像して、それを感じ取る力がわたしたちにはすっかりとぼしくなってしまったのではないか、そうおもうのです。


(戦後の食糧難の中で)いのちにしがみつくようにして生きていく日々の中で、人の厚意にふれる度に、わたしたちはそのありがたさを実感しました。思いやりを示してくれる相手の気持ちの深さを思い、その人の置かれている状況を推し量って、感謝の思いをいっそうふかくしていたのです。
人々の上におひさまが照ることも、雨が大地を潤すことも、夜が来てまた朝がめぐって来ることも、みなありがたく感じていました。
 
 そうして日ごとに、うしなうものよりも新しく得るもののほうがふえていき、だんだん暮らし向きが良くなって、わたしたちのくらしにはすこしづつゆとりが生まれてきました。それは、わたしたちが自分の子や孫たちのために望んだ生活でもありました。食べ物や着るものに不自由しない豊かさを手に入れれば、戦争以前のおだやかな生活に戻れると、わたしたちは思っていたのです。

けれど、どうやらそこに思い違いがあったようです。
わたしたちは、つつましい生活の中にあるちいさな幸せをも実感出来ていたのに、ゆたかさを追い求めるようになってから、そのセンサーを鈍らせてしまいました。あれほどありがたいと思っていたものからありがたみが消えて、どれもみなそこにあることが当然だと思うようになってしまったのです。それとともに、他の人のことをおもんばかる想像力も衰えてしまいました。


 日野原氏の書物は ちょっと重めのテーマを 読みやすく書かれているので良いですね。この本は実家から贈られてきたものです。
by miton_nakagawa | 2007-05-14 15:38 | 絵本と絵葉書